歯は磨いてはいけない!
先日、衝撃的な本を読んだ。
『歯はみがいてはいけない (講談社+α新書)』という書で、歯は磨くのではなくあくまでプラークを取りましょう、という内容なのだが、これが目から鱗がボロボロ。
例えば、食後の歯磨きはNG。
飲食すると、歯の表面はカルシウムやリンが唾液中に溶け出し、一時的にやわらかい状態になる。その後、30~60分かけて元の硬さ戻る*1。この歯がやわらかい時に歯みがきをすると、歯ブラシで歯の表面が傷ついてしまうだ。
加えて、この時口をすすぐと、必要な成分の含まれた大切な唾液を吐き出してしまう。食後は、歯を磨くのではなく、代わりに、唾液をしっかり出すために口の中で舌を巡らせたりガムを噛んだりする方が良い。
ではいつ磨いたら良いのか?━━答えは、寝起きがベスト。
睡眠中は唾液がほとんど出ず、プラークが一番繁殖する。ということは、寝起きが一番プラークが溜まっている状態。今まで歯磨きは就寝前だけが習慣であったが、これだと不十分になる。
ついでに、歯ブラシは汚い。
曰く、口の中はたくさんの菌が存在する。歯を磨くと、当然歯ブラシに移り、そこで繁殖する。中には悪玉の細菌もいるので、病気の原因になりかねない。
幸い、細菌は乾燥に弱いので、水洗いした後しっかり乾燥させればOK。また1ヶ月に1回は交換の必要あり。
今まで歯ブラシを乾燥なんてやったことなかったし、毛先が広がるほぼ限界まで毎回使っていた。これも改めなければいけない。
デンタルフロス派への転向
著者は、歯ブラシ以上にフロスが大事という主張。納得できる点が多かったので、歯ブラシ派からフロスメイン派へ転向することに決定。
起床直後と、就寝前のデンタルフロス生活へ、思い切って習慣を変えることにした。
デンタルフロスの使い方
フロス派に転向するにあたって、まずは使い方を覚えなければならない。昔、試しにフロスを使ってことがあったが、当時はあまり歯間に入らず、やり方もよく分からず、すぐ諦めた記憶がある。うまいやり方を解説した動画はないかと探してみた。
例えば、これ。
ただ、この動画のお姉さんは、最初から最後まで糸の同じ部分を使っている。テンポよく見せるためだろう。ただ本来は、糸を送り出して、毎回当てる部分を変える。
次の動画はCG。上の動画より、こちらの方が口内での操作イメージがわく。
Youtube上のフロスハウツー動画をいくつか眺めてみたところ、フロスを巻きつける指は、人差し指派、中指派、薬指派とやり方はそれぞれ。おそらくアゴの大きさや手指の大きさ次第で、どれが一番やりやすいか変わってくると思う。
ちなみに自分は、アゴが小さめなせいか、中指に巻き付けると細かい動きができない。なので、人差し指派。
フロスを使っていると、最初の内は歯茎の状態が悪いせいか、よく出血していた。が、慣れると次第に少なくなってくる。また、独特のスッキリ感があって、気持ちが良い。
慣れるまで1ヶ月近くかかったが、歯ブラシよりも汚れを取っている感があるので、やり方が分かってくると癖にる。歯ブラシには、もう戻れそうにない。
デンタルフロスの選び方
デンタルフロスの選び方についても書いておく。
ドラッグストアに行くと、メーカーも種類も豊富で、どれを使ってよいのか、正直悩んだ。
例えば、およそ以下のような種類と特徴がある。
- WAXあり:ツルツルしていて歯間に入りやすい。
- WAXなし:「WAXあり」より歯間には入りにくいが、摩擦が強く歯垢除去率アップ。
- 繊維太め:歯間の大きい人、中高年向け。
- 繊維細め:歯間の狭い人、若者向け。
- ナイロン:吸水性が高い。唾液を吸って膨らむことで、除去率アップ。
- ポリエステル:膨れないが、引っ張りに強いため、切れにくく、力を入れやすい。
- ナイロン&ポリエステル:両方の良い所取りをしたタイプ。
- 添加剤付:ミントやらなんやらのフレーバーや、フッ素加工などのオプション付き。
- 黒フロス:取った歯垢が見えやすい。
悩んだあげく、最初は黒のポリエステル製のものを使った。まずは、プラークというものがどんなものであるのか、目で見て確かめたかったため。また、自分の歯のどこに歯垢が貯まりやすいかもチェックしたかった。
その後、自分に合うデンタルフロスを探さんと、ドラッグストアのものやAmazonで評価の高いフロスを片っ端から試す。
↓その中で一番気に入ったのが、これ。
一見太めなのだが、元が細い繊維を束ねているせいで、意外とすんなり歯間に入る。感触も気持ちが良いので気に入っている。
どのデンタルフロスが良いかは、自分の使い方の癖や、歯と歯茎の状態次第で変わってくると思う。もし使うなら、一度あらゆるタイプを試してみることをお勧めする。
歯ブラシの使い道
歯ブラシについて改めて考えてみる。
歯ブラシは、食べカスを取るためはフロスよりも使いやすい。食べカス(=細菌の栄養源)は、ブラークの育つ条件でもあるので、それを除去するのはもちろん重要。
しかし、歯ブラシでプラークを取るためは、フロスよりも使い方がとても難しい。表面は良しとしても、隙間に届かせにくい。徹底するのであれば、歯と歯、歯と歯茎の間を狙ってプラークを掃き出し、軽く口をゆすぎ、ブラシを洗い、再びプラークを掃き出し…というルーチンをまめに繰り返す必要があるかもしれない。
また、無駄に力が入りやすいので、歯茎を傷めやすい。力を入れると磨いている感がありスッキリはするが、実際は磨けていないというリスクがある。磨いたつもりでも、歯茎を傷めているだけで、プラークはほとんど取れていないという可能性もありそう。
結論として、歯ブラシは、食べカス取り目的と、歯の前後のポケットを狙う形で使うことに決めた。これはフロスでは唯一やりづらい箇所でもある。
補助用歯ブラシの選び方
では、補助用にどんな歯ブラシを使うべきか。
著者は、毛先の触れていない部分にも働きかけられるという理由で、音波ブラシを勧めていた。
ソニックケアシリーズが有名らしいが、自分が選んだのはこれ。
近所のドラッグストアで300円くらいで購入。値段の割には十分な性能で、コストパフォーマンス高し。
フロスが終わった後、この音波ブラシを歯と歯茎の隙間に軽く当てるだけ、という使い方を最初はしていた。
ところが、「タフト」という歯ブラシに出会って考えが変わる。
これはドラッグストアでは買えない、歯科専用のものだそう。評判が良くて使ってみたら、これが素晴らしい。毛先が細くで高密度で、歯と歯の間、歯と歯茎の隙間にしっかり入る。
しかも、安い。1本100円程度。この値段なら、早く捨てられるので衛生的にも良い。
このタフトを音波ブラシ化できたら理想なので、先端を切断して上のmarumanと接合できないか、試行錯誤中。
歯ブラシのケア方法
さて、歯ブラシを使うのであれば、気になるのは雑菌増殖対策。どう対策すれば良いだろうか?
前提として、細菌は倍々ゲームで増殖する。時間が経てば、増殖できる環境が許す限り、すぐに最大まで膨れ上がる。重要なのは、その増殖しやすい環境にしないこと。それで増殖可能な最大値は減る。
増殖条件の一つは栄養分なので、細菌を増やさないためには、まずはエサとなる食べカスと水分を減らす必要がある。
よって、磨き終わったらまずは洗って食べカスを取り、その後水分をクッキングペーパーで十分拭き取って乾燥させる。その後、湿気の少ない所、日の当たるところに置いておけば良い。
この時、除菌スプレーは必要だろうか?
単に除菌スプレーしただけでは、多少菌が減ったとしても、栄養豊富な環境である限り、またすぐ復活するため、あまり意味がないと思われる。仮に滅菌*2してほぼゼロにしたところで、完全にゼロにするのは不可能。
そもそも、滅菌までするほどコストをかける、十分なリターンがあるかも微妙だ。人間は細菌と共生している。口の中より悪性の細菌が相対的に十分少なければ問題ない。
増殖を抑えるという意味で、単に数を減らす除菌スプレーでなく、以下の防菌スプレーが役立つかもしれない。
▼通常の除菌スプレーよりも持続性が高いという触れ込み。
Etakと一般的な除菌・抗菌剤の違い と可能性 |Etakについて |ウイルス・菌対策研究所
実際に使っていないので、どんなものかは分からないが、良さそうな気はする。
歯磨きについての超個人的考察
最後に少し考察。
思うに、この新しい効果的な歯磨き行為にとって、「歯磨き」という命名はよろしくない。
「歯を磨く」という言葉では、歯の表面を摩擦で研磨するイメージを描いてしまう。それだと、隙間には意識がいかないし、力が入って表面に傷をつけるだけになってしまう。研磨したら、すり減っていくだけである。
歯と歯の間、歯と歯茎の間から、プラークを掃き出す、もしくは拭き取るイメージで行うべきなのだ。「歯垢取り」「歯拭き」「歯掃除」という言葉の方が良い。
今後は、一番語呂が良い「歯掃除(ハソウジ)」と呼ぶことにする。
まとめ
- 歯は、食直後に磨いてはいけない。
- 歯は、起床直後に磨くのがベストタイミング。
- 歯ブラシよりデンタルフロスを使うべし。歯ブラシは補助的に活用。
- 歯ブラシを使った後は、しっかり洗い、水分を拭き取って乾燥させるべし。
- 歯ブラシは1ヶ月に1回は交換すべし。
- 中途半端な除菌は意味ないよ。
- 「歯磨き」でなく「歯掃除」と呼ぼう。
Footnote
*1:歯の再石灰化。
*2:除菌/滅菌/抗菌/防菌の違い
[参考1] https://r25.jp/life/00036489/
[参考2] http://www.denkosha.co.jp/kikaku/dew_jokin.html?TB_iframe